セルフジェルネイルが世の中に浸透して数年、コロナ禍によりさらにその需要が高まったのは去年のこと。
さまざまなブランドが登場し、発売当時は革新的だった「はがせるジェルネイル」ももはやジェルネイルの一つの種類として定着しています。通常のジェルネイルに比べ、道具が少なく安価なものが多いため、ジェルネイル初心者には手が出しやすいのが魅力的。
そんな「はがせるジェルネイル」について、全く知らなかった人や気になっていた人、すでに使っているという人も改めてはがせるジェルネイルとはどういうものなのか、メーカー側の目線も交えつつ解説していきたいと思います。
ジェルネイルの種類について選択肢があることを知った上で、自分に合ったやり方を見つけるための手助けになれれば幸いです。
はがせるジェルネイルとは
この記事を読んでいる方は多くの人がジェルネイルについては既にご存知かと思いますが、ジェルネイルは爪の上にジェル(ジェルの原料についてはこちら)を塗ってライトの光を当てることでジェルを硬めて爪と密着させるネイルのことを言います。
ジェルネイルは密着性が高いためオフするときに手間がかかり、だいたいどのメーカーでも、ジェル表面を削り落としてから専用リムーバーを使用して落とすのが一般的なやり方(ジェルオフのやり方)です。
こちらの記事で言及したように、定着のいいジェルネイルのオフを今以上に簡単にすることは難しく、オフを面倒に感じている人が多いのが現状です。
そのオフをとてつもなく簡単な方法でできるようにしてしまったのが、今回のテーマ「はがせるジェルネイル」なんですね。
その名の通り、オフするときははがすだけ。
溶剤や道具もいらず、シールのようにペリッとはがすだけなんです。見た目は通常のジェルネイルと変わらず、オフははがすだけでいい理想的なジェルネイルということです。
理想的とは言っても、やはりデメリットが0ではないのも事実。
何をメリット・デメリットと捉えるかは人それぞれなので捉え方にもよりますが、そのあたりも踏まえて実際自分にはどのジェルネイルが合っているかなど考察してもらえればと思います。
後半には、便利なテクニックや使い分けのアイデアなんかもご紹介してますので、ぜひ最後までご一読ください。
通常のジェルネイルとの違い
ジェルネイルにも様々な種類がありますが、ここでは「通常のジェルネイル=ベース・カラー・トップを使用し、オフにはジェルリムーバーが必要なジェルネイル」ということで進めていきます。
最初に通常のジェルネイルとのオフの違いについては触れましたが、それ以外にも違いがいくつかあるので、細かく説明していきます。
オフが簡単
前述した通り、はがせるジェルネイルの一番のメリットがオフ。
通常のジェルネイルだと、
- ジェル表面のサンディング
- リムーバーを浸したコットンをジェルに乗せる
- アルミホイルで巻く
- 約15分待って落としていく
という4つの工程を両手しないといけないのでセルフでするなら早くても30分くらいはかかります。そんな面倒な工程をはがすだけで終わらせられるので、とても簡単になることは間違いないです。
また、仮に1本だけジェルネイルが取れてしまったとしても、はがせるジェルネイルなら、気づいた時に他のネイルもすぐはがせるのでとても気軽に扱えます。
施術時間短縮
オフの時間が短いのは当然ですが、ジェルを塗る際も、短い時間で施術できるものがほとんどです。
次の項目ではがせるジェルネイルの種類について説明しますが、主流なのはオールインワンタイプなので、ベース、カラー、トップと何層も重ねて硬化する必要がなくかなりの時間短縮になります。
オールインワンタイプではなくても、はがせるベースコートなどは乾燥させるタイプのものもあり、硬化する必要がなくマニキュアのようにサッと塗って少し待つだけでカラージェルの工程に移れます。それだけでも時間短縮にはなりますよね。
道具が少ない
オフの時にはがすだけでいいので、まずリムーバーがいりません。リムーバーが不要だと、アセトン(リムーバーの主成分)による乾燥や爪へのダメージの心配もなくなります。アルミホイルやコットンを小さく切って用意する必要もないので面倒くさいと思いがちな手間も省けます。
また、最初に用意する道具も比較的少ない数でできるものが多いので(メーカーにもよりますが)、コストを抑えることができます。
自爪を削らなくていい(サンディング不要)
最近ではセルフ向けのものはノンサンディングのベースジェルも増えてきましたが、ものによってはベースジェルを塗布前に自爪の表面を削るサンディングが必要なものもあります。サンディングのしすぎや、間違ったやり方ですると自爪を傷めてしまう可能性もありますが、はがせるジェルネイルのベースの場合はサンディングの必要がないので自爪を傷つけるリスクは減ります。
持つ期間が短い
はがせるジェルネイルの一番のデメリットが持ち。
通常のジェルネイルの場合、セルフでやっても2週間~3週間は持ちますが、はがせるジェルネイルは長くて1週間程度。施術方法や爪との相性が悪い場合など、最悪1日で取れてしまうこともあります。
はがせるジェルネイルに使用されるジェルやベースコートはシールのようにきれいにはがれることを目的とした皮膜形成を行う成分が主成分となっているため、ベースジェルに比べると密着力が弱く、持ちが悪くなってしまいます。
しかし、逆に言うならば、仕事の都合で週末しかネイルができなかったり、旅行の時だけでいいという方には1週間程度持てば十分ですし、オフしたいときにサッとできるのはありがたいことです。
はがせるジェルネイルの主な種類
はがせるジェルネイルといってもメーカーによってそれぞれ使い方や仕上がりなど若干の違いがありますが、大きく分けると2種類です。
オールインワンジェルタイプ

オールインワンジェルの場合は、ベース・カラー・トップ全てが1本でできます。施術もベースとトップの工程を省けるため、カラーを2度塗りするだけで仕上り、大幅に時短で簡単。最初に用意する道具は最低でもカラージェル1本とジェルネイルライトの2点があればいいので、価格もお手頃でジェルネイル初心者や軽く試したいという人にはおすすめです。
ただし、デメリットとして挙げられるのが表面のツヤと厚みについて。1本に3つの役割を詰め込んでいるので、ツヤや保護のみに特化したトップジェルに比べると仕上がった後のツヤがマニキュアのトップコートと同じくらいしかでません。加えてジェルの層が2層しかないので強度も少し弱くなってしまいます。
最近ではオールインワンジェルのメーカーも別売りでトップジェルなどを販売しているところもあるので、そこは好みに合わせていろいろプラスしてみるのもいいかもしれませんね。
オールインワンジェルの使い方
*硬化時間はメーカーにより異なりますので、メーカー推奨の秒数を照射してください。
他社製品にはなりますが、ホーメイさんのウィークリージェルを使用します。
①プレパレーション(下準備)をした後に、ブラシにジェルを適量取り、爪全体とエッジ(爪の先端)にジェルを塗ります。

②LEDライトで約30秒*照射し、硬化します。

③もう一度爪全体とエッジにジェルを塗ります。

④LEDライトで約30秒*照射し、硬化します。

⑤完成

ピールオフベースタイプ

ピールオフベースは通常のジェルネイルのベースジェルをはがせるタイプのベースコートまたはベースジェルに変えて施術することで、オフの時にはがせるようになるものです。
そのため、施術工程は通常のジェルネイルとほぼ変わりません。ベースを変えるだけでいいので、今まで使用していたカラージェルやトップジェルはそのまま使用できるのがメリット(違うメーカーのものを併用できるかは各メーカーにご確認ください)。
ツヤと厚みに関しても、通常のジェルネイルと変わらない仕上がりになります。仕上がりにサロンと同じくらいのクオリティを求めるならピールオフベースと通常のカラージェルやトップジェルを合わせて使うのがおすすめです。
ピールオフベースの使い方
*硬化時間はメーカーにより異なりますので、メーカー推奨の秒数を照射してください。
①プレパレーションをした後に、ピールオフベースコートまたはピールオフベースジェルを爪全体とエッジに塗ります。


②ピールオフベースコートの場合は完全に乾くまで自然乾燥させ、ピールオフベースジェルの場合はLEDライトを約30秒*照射して硬化します。


③カラージェルを爪全体とエッジに塗って、LEDライトを約10秒*(グランジェの場合)照射して硬化する作業を2回繰り返します(2度塗り)。


④トップジェルを爪全体とエッジに塗って、LEDライトを約20秒*(グランジェの場合)照射して硬化します。


⑤完成

グランジェの「PEEL OFF BASE COAT」

グランジェから販売されているのはピールオフベースタイプのもの。ベースジェルの代わりに使用するものなので、グランジェのカラージェルやトップジェルをお持ちの方は、ベースを替えるだけではがせるようになります。
グランジェのピールオフベースコートはオフの負担が少ないだけではなく、爪補修成分が含まれているため、ジェルの付け替えで爪が薄くなっていたり、自爪を休ませたい、自爪を保護しながらジェルネイルを楽しみたいという人にもおすすめなんです。
【PEEL OFF BASE COATに含まれる成分】
- ジメチルスルホン:この成分は針葉樹から抽出される有機イオウ化合物の一種で、爪の主成分であるケラチン生成に必要な有機イオウを補うことができます。 関節の痛みを和らげたり、コラーゲンを健康に保つ健康食品などに使われていることも多い成分です。
- 卵殻膜:卵殻膜は傷の治療にも使われている成分で、アミノ酸、コラーゲン、ヒアルロン酸が含まれています。特に、シスチンというケラチンに多く含まれるアミノ酸が豊富なので、爪を保護し健康に保ってくれます。
- スギナエキス:スギナエキスはトクサ科植物スギナから得られる植物エキスです。保湿効果の高いミネラル類が多く含まれており、爪の中の水分を保つ働きをしてくれます。

塗り心地はサラッとしたテクスチャーで初めての人でも塗りやすく、マニキュアのように塗っていただけます。
使い方はとっても簡単。爪全体とエッジに塗って約1分間乾燥させるだけ。完全に乾いたらカラージェルを塗っていきます。塗ったそばからすぐに乾いていくので、ジェルのようにゆっくり塗るのではなく、少ないストロークでサッと塗るのがコツです。詳しい使い方はこちら。
持ちについては個人差がありますが、2、3日~1週間くらいです。元々通常のジェルネイルの持ちがいい人はピールオフベースコートでも持ちがよく、悪い人ははがれやすい傾向にありますが、施術方法や生活環境などによっても左右されるので、施術前にこれからご紹介する長持ちのコツを実践していただくことをおすすめします。
長持ちのコツ
はがせるジェルネイルの持ちは爪との相性やメーカーなどによって個人差もありますが、2,3日~1週間くらいです。元々ジェルがはがれやすい爪の人は特に、1週間持たせるのも難しいことが少なくありません。
やり方が簡単とはいえ、ただなんとなく施術するよりもコツに気をつけて施術した方が持ちが良くなるので、これからご紹介する5つの点に気をつけてみてください。
プレパレーション
通常のジェルネイル同様、はがせるジェルネイルを施術する前にもプレパレーションは必須です。甘皮やルースキューティクルが張り付いていたり、爪表面に油分が残っているとリフト(浮き)しやすくなります。甘皮周辺をきれいにケアして、爪表面をクリーナーで拭き取ってから施術しましょう。
プレパレーションのやり方はこちら。
適度な量を塗る
オールインワンジェルでもピールオフベースでも一度に塗る量が多すぎたり少なすぎたりするとリフトやすくなります。はがれやすいなら量を増やせば持ちが良くなるんじゃ?と思いがちですが、一度の塗布量が多すぎると硬化不良になったり内側まで乾ききらなかったりして持ちにも影響してきます。また、塗る量が少なすぎてカスカスになるのもダメ。ハケ跡が残らず、滑らかに全体を覆えるくらいの量を塗布しましょう。
皮膚につけない
ベースジェルやベースコートを塗る際は、できるだけ皮膚につかないように丁寧に塗ります。皮膚についたままでいると、そこから空気が入ったり、皮膚の油分などがついてしまいすぐにリフトしてしまいます。
もしはみ出してしまった場合は、ウッドスティックで拭ってから乾かしたり硬化してください。
エッジにも塗る
使い方のところでも記載していますが、ジェルやベースコートはエッジまでしっかり塗ります。そうすることで、爪先からのリフトを防ぎ、持ちが良くなります。
日常生活で気をつけること
ジェルネイルは水分に弱いです。普段水仕事が多かったり、お風呂のお湯に長時間つかったりなど、水やお湯に触れる時間が長いと取れやすくなってしまいます。洗い物をするときはゴム手袋をしたり、お風呂のときはネイルはお湯に浸さないようにするなど、工夫をしたほうが長持ちします。
また、日常生活の中で、爪先を酷使したり、ぶつけたりといった衝撃でもリフトや欠けの原因となるので、爪先はできるだけ使わないようにしましょう。
はがすときのコツ

はがせるジェルネイルの意外な盲点なのが、はがすときに自爪を傷めてしまう可能性があること。簡単にはがれると思って勢い良くはがすと、自爪の表面がもっていかれてしまうことは少なくありません。無理やりはがした後の自爪は爪表面が荒れた状態になり、爪が薄くなってしまったり、二枚爪などの原因となる場合もあります。簡単にペロッとはがれてくれる人は必要ありませんが、なかなかはがれないという人はウッドスティックとオイルを使用してオフしましょう。やり方についてはこちらを参考にしてください。
ウッドスティックとオイルを使用する際でも、はがすときの向きがとても大切です。爪がなるべくジェルに引っ張られないように、爪表面に沿わせるようにしてウッドスティックを動かしてください。
個人的な意見にはなりますが、お風呂でお湯に長時間つかった後は爪が水分を吸収して柔らかくなっている状態なので乾燥している爪よりも比較的オフしやすかったです。お風呂に入った直後にウッドスティックとネイルオイルを使用してオフするのが一番安全ではないかと思います。

もしジェルをはがした後に、爪表面が白くなってしまったり、二枚爪のようになってしまったときはネイルセラムとスポンジバッファを使用して自爪の表面をきれいに整えます。乾燥して荒れてしまった爪表面にセラムで水分補給をして、スポンジバッファで均一にならしてあげると、白くなったりめくれてしまった部分が目立たなくなり、触ってみても滑らかになります。
やり方動画はこちら。
ただし、スポンジバッファもファイル(爪やすり)の一種になるので、あまりに削りすぎると爪がさらに薄くなります。様子を見ながら必要最低限にしてください。
また、少しでもリフトしている場合はそのまま放置してしまうと、その隙間から水分や雑菌が入り込んでしまい爪トラブルになることがあるので、必ず全てオフしましょう。
ベースジェルとピールオフベースの使い分け

グランジェユーザーの方で実践している方もいらっしゃるのが、はがれやすい人差し指や中指はベースジェルを、それ以外の指はピールオフベースコートを、と使い分けるやり方。日常生活でよく使う人差し指や中指のネイルがはがれやすいという人は多いと思います。そこで、自分の爪に合わせてベースを使い分けることで、持ちをよくして、オフもできるだけ簡単にするというアイデアです。
ピールオフベースコートでもそれなりに持つけど、特定の指の爪だけがすぐにはがれてしまうという方は試してみてください。
まとめ
ここまで、はがせるジェルネイルについて説明してきましたが、セルフジェルネイルが初めての人は結局のところ自分はどのジェルのタイプが合っているのかな?と迷ってしまうと思うので、簡潔にまとめます。
ネイルを1週間以上持たせたい、とにかく持ち優先という人は通常のベースジェルを、2~3日でオフしたい、持ちよりも手軽さ優先という人ははがせるジェルネイルがおすすめ。
はがせるジェルネイルの中でも、安価で時短が優先という人はオールインワンジェルタイプ、仕上がりの美しさ優先、通常のジェルと併用したいという人はピールオフベースタイプがおすすめです。
持ちと手軽さで最初に比較するのが一番分かりやすいかと思います。はがせるジェルネイルがいいなと思ったら、何を優先するかで判断すれば自分に合ったタイプが見つかります。欲しいタイプが決まれば、後は各メーカーでそれぞれの特徴を比較するだけ。
最後に参考程度に個人的な体験談を書かせていただくと、
私は持ち優先派なので通常のジェルネイルを使用しています。何度かピールオフベースコートも他メーカーのオールインワンジェルも試したことはありますが、私はおそらくはがせるジェルネイルとの相性があまり良くないのか、プレパレーションしても1週間は持ちませんでした。逆にオフのときはとてもきれいにはがせるのですが、気づかないうちにポロッとなくなっていることもあり、いつどこでネイルが取れてしまうのか気が気ではなくて続きませんでした。仕事柄ネイルもできますし、自爪が薄いためずっとネイルをしていたいほうなので、やはり通常のジェルネイルに落ち着きました。
ということで、なかなかいろいろ試してから自分に合ったものを探すのはコストがかかって難しいと思うので、今回まとめた内容を参考に自分にはどのタイプのジェルが使いやすいのか吟味してからご購入いただければと思います。
お知らせ
セルフジェルネイルの定番モデルが、10周年を迎えてリニューアル。さらに手軽に、扱いやすくなりました。
詳細はこちらをご覧ください。
