こんにちは。ネイリスト講師の三浦です。
紫外線、日焼けが一年でいちばん気になる季節になりました。
「そういえばジェルネイルライトって日焼けするのかな?」
と疑問に思ったことはありませんか?
今回はジェルネイルライトと日焼けについてのお話です。以前からよく議論されているこのテーマ、ネット上にもいろんな意見があふれていて、結局どっち?という難しいところでもあります。
ネイルサロンでもセルフネイルでもジェルネイルを完成させるためには必須のネイルライト。私のネイルサロンでもネイルライトで日焼けするのか確認のお問い合わせをいただいたり、施術中ライトに手を入れる際ににお客様に聞かれることもあります。
年齢が出やすい、日焼けやシミが目立つ、しかも隠せないと言われている手の甲は特に気にされる方も多いパーツ。毎月のジェルネイルを安心して楽しめるよう、本当に日焼けはするのか、ジェルネイルの光から検証していきます!
光の種類と人への影響

出典:Zoff https://www.zoff.co.jp/shop/help/uv-care.aspx
光は電磁波の一部であり、その波長はナノメートル(nm)という単位で表記され、波長の短い・長いによって種類が変わり、波長が短いほど人体への影響は強くなります。光の中で目に見える色を持つ光が可視光線、青や紫色のLED、ブルーライトなどで、紫外線は目で見ることはできません。
紫外線とは?
太陽光に含まれる紫外線には3種類、A,B、C波があります。
日焼け止めや化粧品のCMでよく目にするのがA波とB波、これらはUVA、UVBとしてもおなじみですね。もう一つのC波、UVCは、オゾン層を通過する際に吸収されるため、残ったUVAとUVBだけが地表に届いています。
このUVAとUVBはそれぞれ皮膚に与える影響が異なります。
一般的に日焼けと認識されやすいのは短時間ですぐに赤くなったり肌を黒くするUVB。
これに対して、より皮膚の深部、真皮まで届きすぐには影響を感じないものの、時間をかけて深いシミ・シワ・たるみの「光老化」の原因となるのがUVAです。
・UVA…315~400nm:全紫外線の95%、
皮膚の奥、真皮まで届く。すぐには日焼けも炎症もなく、曇、屋内や車のガラスも通貨するため、気づかないうちに「生活日焼け」になりやすい。
日焼け止め数値は「PA」、+~++++で表記。
・UVB…280~315nm:全紫外線の5%、
UVAよりエネルギーが強く、表皮に影響し急激な日焼けや炎症を起こす。シミ、ソバカス、皮膚がんや白内障の原因にも。海やスポーツの「レジャー焼け」に多い。
日焼け止め数値は「SPF」、最高値はSPF50+。
すぐに影響の出るUVB、あとになってジワジワ出てくるUVA。
肌表面ですぐに炎症を起こすUVB、肌の深層から影響を及ぼすUVA。
私も、日焼けといえばUVBのすぐに赤くなったり黒くなったりするイメージで、以前は夏がすぎればいつも自然にリセットされるものだととんでもなく気楽に考えていましたが、年齢を重ねるほど、より肌の奥深くに届くUVAの怖さを実感しています。ふと気づいたシミが、一体いつ浴びたUVAのものなのか、全くわからない怖さ。
しかもUVAはUVBと違って、冬になってもその量が激減することはなく、肌で感じる日射しほど夏と冬の差がないのです。UVAカットのカーテンやガラスフィルターをしない限りは、一年中家の中にも車の中にもUVAは容赦なく入ってくるということに。もしも、春~夏にしか紫外線対策をしていないなら、要注意!
可視光線、ブルーライトとは?

出典:ブルーライト研究会 http://blue-light.biz/about_bluelight/
ブルーライトは380~500nm程度、目で見ることができる光の中で最も波長が短く強いエネルギーを持つ光です。
人工的な光というイメージもあるようですが、実は自然の太陽光にもブルーライトは豊富に含まれていて、体内時計をリセットしたり気分を高揚させる大切な働きをしています。朝起きたらカーテンを開けて日光を浴び、体内時計をリセットすることで、生活リズムを整えられるのもその恩恵によるもの。
就寝前2時間以内にスマホを良い睡眠がとれなくなるとされるのも、今から睡眠という時に身体を朝のモードにしようとしているのだからバランスが狂うのは当然ですね。
ブルーライトというと、主にパソコンやスマホの画面などから発せられる光による身体への影響が懸念されはじめていますが、そのメカニズムなどは詳細に解明されていません。
現在、身体への影響として指摘されるのは肌と目。ですが、今回のテーマは日焼けについてなので、肌への部分だけに注視したいと思います。
最新の調査では、太陽光に含まれるブルーライトは、スマホやパソコンの画面や室内照明から発せられるブルーライトのおよそ数百倍の強度があることがわかっています。
数百倍、イメージすらつきませんが、日々当たり前に浴びている太陽光の強さに驚く反面、光の強度にかなり差のある人工ブルーライトにまで必要以上に神経質になることの怖さも感じます。
(出典:資生堂 https://corp.shiseido.com/jp/newsimg/2971_k1a95_jp.pdf)
紫外線、ブルーライトのどちらにも言えますが、光源が太陽光なのか人工なのかで光のエネルギー量も対策も変わってくるので、ここの違いをしっかり把握することは大切です。
ジェルネイルライトの光
ジェルネイルライトで使用される光の種類は大きく分けて2種類、UVライトとLEDライトがあります。以前はジェルネイルと言えばUVライトが一般的でしたが、徐々にLEDライトが主流になりつつあります。
この2つは使用する光の波長が異なり、その違いはジェルネイルの硬化に必要なライト照射時間にも反映されています。
例えばトップジェルだけなら従来のUVライトでは約2分程度かかっていたものが、LEDライトでは20~30秒で硬化できるようになりました。
施術時間全体になると、その差はかなりあります。
ドーム型のライトを使用し、片手を親指と他の4指の2回に分けて硬化する場合、
照射時間だけなら
UVライトは約1200秒/20分、
LEDライトは360秒/約6分
(ベースジェル→カラージェル×2層→トップジェルのベーシックな施術をした場合)。
もちろん価格も異なり、安価なUVライトに比べてLEDライトは高価になります。
ただし、蛍光管何本かで照射するUVライトは頻繁なライト交換が必要なため追加で費用がかかり続けますが、LEDライトはいったん購入すれば長寿命で、埋込式となっているLED球は交換をすることはそうそうありません。
ちなみに、意外と知られていませんが、UVライトの蛍光管が何本かあるうちの1本がチラついたり暗くなったと交換がする際は、その1本だけでなく、ついてる蛍光管すべてを一気に取り替えなくてはいけません。
もったいない、と思ってしまいがちなのですが1本だけ新しくしても出力バランスのにムラが出るため、硬化不良の原因になってしまうことも。
機種によっては本体は安価でも交換用のライトが意外と高額、というデメリットもあるので、購入の際は慎重に選ぶ必要があります。今後長く使うのであれば、個人的にはLEDをおすすめします。
初期購入は高額だとしても数年使うと、交換を数回したUVライトのコスパが追いついてしまうことも。
もちろんそれぞれにメリット・デメリットもあり、いちばんは使用するジェルをきちんと硬化できるライト波長のを選ぶことです。
ジェルネイルライト(UV)

蛍光管4本使用のUVライト
出典:walmart
UVライトで使用されているのはその名の通り紫外線、UVA。365nmをピークに、365~370nmが一般的です。
UV=日焼け!と勘違いされてしまいがちですが、肌を黒くする日焼けの原因となるのはUVBですから、UVAライトの使用→即日焼けして肌が黒くなった、とは考えにくいのです。
では、波長の長いUVAが使われているなら、シワやたるみは避けられない?といえば一概にそうとは言い切れません。
UVライトの光源は蛍光管の光。ブルーライトと同様に、同じUVAだとしても人工の蛍光管UVと太陽光とでは光の強度が比べ物にならないほど、こちらは約1000分の1と言われています。
1回の施術を通してUVライトの光を浴びることと、窓際でほんの数秒日光に当たることは同等の影響とされており、そうなると日常生活の中にはUVライト日焼けの心配よりもっとリスクが高いシーンがたくさんある可能性は大。
例えば、日焼け止めを塗っていない状態で窓を開閉することや、ガラス越しの日光を浴びたりすること、ちょっとだからとゴミ捨てに外に出たり、そんなちょっとした行動の方がよほど多くのUVAを浴びているのかもしれません。
ジェルネイルライト(UV)で日焼けしたことがあるかもしれない話
では、どれだけUVライトを照射したら肌に影響が出るのか。実は私は、
「あれ?もしかしてネイルライトって本当に日焼けする?」
と思ったことがあります。
ネイリスト見習いだった頃、朝9時から夜22時すぎまで1日中ジェルネイルの練習をしまくって、当時どこのネイルサロンでも主流だった36WのUVライトを使いまくっていたのです。私は右利きなので、常に練習ジェルを塗った左手をライトに入れているような状態。
それが秋から翌夏くらいまでの期間ほぼ毎日で、その後無事にデビューしサロンワークにはいりました。そして、日焼けする確率の低いはずの真冬の頃、施術中にふと自分の左右の手の、見た目の感じが違うことに気づいたのです。
「左手だけ手の甲や指がなんとなーく、くすんで暗くて、右手と違うような気がする」
夏の日焼けみたいに黒くなったとわかりやすいのではなく、片手だけ急に老けたような、乾燥してるのか肌の透明感がなくなったような感じでした。
まわりのスタッフに見せると、言われてみれば…というくらいの反応でしたが、否定してくれる人はゼロ。
私は気になりだしたら不安になってしまい、とにかく思いつく限りの保湿ケアとスクラブケアをすぐに始めました。
あきらかに乾燥もしているように感じたので、水分+油分の補給を地道に続け、次の夏が来る頃には気づいたら左右の差は気にならなくなっていました。元に戻るのに半年以上かかってしまい、必死だったとはいえ、無頓着すぎた見習い期間の自分を反省しました。
こんなの聞いたら、UVライトって怖い!と思われるかもしれませんが、ここで重要なのは私のUVライトの照射時間なのです。毎日朝から晩まで、ジェルを塗ったらUVライトに手を入れて、出来をチェックしてもらったらまたすぐジェルを塗って硬化して……を週6で半年以上繰り返すという尋常じゃない頻度でライトを使っていたということ。
そして、過剰なライト照射により手がいつも熱を持つことで水分も奪われ、かなりの乾燥状態だったということ。
これだけ酷使して、第三者から見て「言われてみれば左右差があるかも」いうくらいなので、普通の頻度でジェルネイルを楽しむくらいの照射時間なら、日焼けはまったく心配いらないのでは、と思っています。
ジェルネイルライト(LED)

LED球が埋め込まれているLEDライト
出典:Amazon
もう一つのLEDライトで使用されているのは可視光線、ブルーライトの領域の光で、一般的には405nm、もしくは400~405nmの波長が使われています。もともと、UVライトの後に安全性を考慮されて作られたものなので、UVライトに比べ波長も長く肌への影響が少ない上、その照射時間の短さから、日焼けのリスクはさらに少ないと言えるのではないでしょうか。
そして重複してしまいますが、人工ブルーライトの光の強さは太陽光の数百分の1。ここ数年注目されている、屋外での太陽光のブルーライト焼けとはまた違うものということです。
でも、一般的に「ブルーライト=スマホやPC画面から出ている身体に良くないもの」というイメージが浸透していることなると、「ジェルネイルを硬化するブルーライトはどう違うのか」も気になります。
なので、今度はスマホ画面と比べてネイルライトの光の強さはどうなのか、
スマホ画面の使用シーン2パターンと、
弊社のLED405nmジェルネイルライト、GRANJEネイルキュアライト2を比較してみました。

今回は、光の単位でもある「ルーメン」と「カンデラ」の2つの数値で比較。
ちなみに、1カンデラ=ロウソク1本分の明るさを表しています。
スマホ画面 | 推奨の明るさ(室内照明) | 250ルーメン | 40カンデラ |
---|---|---|---|
スマホ画面 | 要注意(暗いところ) | 600ルーメン | 95カンデラ |
GRANJEネイルキュアライト2 | 照射時 | 100ルーメン | 16カンデラ |
※ルーメン:光量。光が放射状に広がるタイプの光源の明るさ
※カンデラ:光度。その光自体の強さを表す
上記のように、スマホを室内灯の下で推奨の明るさで使用した場合よりも、ネイルキュアライトの数値はかなり低く、暗いところでのスマホ使用と比較すると約6分の1、という結果に。
私達が毎日当たり前のように眺めているスマホ画面の方が、ジェルネイルを硬化しているネイルキュアライトの光よりも圧倒的に強い光を放っていることがわかります。しかもスマホは直視するもので、その画面を通勤や自宅で眺めている時間はネイルキュアライトの照射時間のように秒単位ではなくもっと長時間で毎日。
もちろんそもそもの用途が異なるものなのですが、光度と光の強さだけで比較するなら、暗いところでスマホを使用するのがいちばん身体に影響があると考えられます。
但し、これは明るさの合計の値なので、画面全体から発光しているスマホと、一つの光源から発光しているネイルキュアライトでの違いがあります。(ネイルキュアライトの光源は強い光が集まっているので直接見ないよう注意!)
それでも日焼けが気になるなら、対策3つ
ここまででジェルネイルライト、特にLEDライトによる日焼けはそこまで心配しなくても大丈夫とお伝えしてきましたが、やっぱりどうしても何か対策したい、という方もいるかもしれません。
その場合、どんな方法があるのかもお伝えしたいと思います。
1. 日焼け止め
ネイルサロンで主に使われているドーム型ライトは大きな間口から光が漏れてお客様側に当たるので、気にされる方はいらっしゃいます。
主にUVライトの場合ですが、日焼け止めをおすすめします。ただし、爪にまで塗り込んでしまうと油分が浸透してしまいジェルの定着が悪くなることがあるので、塗る範囲は手の甲や第2関節くらいまで、指ではなく手のひらだけを使って日焼け止めを塗り拡げてください。
UVライトはUVAなので、日焼け止めのレベルでチェックすべきSPFではなくはPAの値ですが、ネイルの施術だけであれば肌に負担の少ない日常生活向けのPA++くらいで充分。
最近ではブルーライト(太陽光の)にも対応できる日焼け止めも増えているので、それならさらに安心かもしれません。
日焼け止めグローブ、指先だけがあいている手袋もよく見かけますが、実はあれは時々ネイリスト泣かせで、手袋の繊維が付着したり、硬化の際に布が当たったりすると大変なことになるので使う時はご注意を。
2. ライトの形状を選ぶ

どうしてもライトの光が気になるのであれば、ドーム型ではなくそもそも光がピンポイントで爪だけに当たるペン型ライトを選ぶのもひとつ。
特にセルフネイルではこうしたペンライト型が多く、爪以外の手や指に光が当たらないのも大きなメリットです。照射する際に爪に対して垂直にライトを向けていれば目に光が入ってくる心配もありません。
ドーム型を使う場合は、セルフであれば光の漏れ出る間口を自分の身体の方に向けない方法もあります。
まれにいらっしゃる、ジェル硬化の際に指先だけをほんのちょこんとドーム型ライトの端っこに入れて、ライトの光が爪先以外に当たらないよう避けられるケース。
ネイリスト側から見えないこともあって、ジェルが硬化していないことではじめて気づくことが多いのですが、これはダメ。
ライトの正しい位置、大概は真ん中あたりですが、そこに手を置くことで正常にジェルネイルが硬化するよう設定されているので、硬化不良の原因になってしまいます。
3. UV・ブルーライトカットレンズ
最後は目への対策になりますが、UVカット+ブルーライトカットできるレンズのメガネやサングラスのアイウェア類。メガネ以外にも、コンタクトレンズで同様のカット効果があるものも出ているので、屋外や車の運転時、長時間のスマホやパソコンにも好みに合わせて選びやすいです。
私も、仕事で長時間施術やパソコンを使う時はブルーライトカットレンズを使っています。実際、体感として劇的に変わったという実感はないのですが、なんとなく疲れが軽減されているような気がするので良しとしています。
いかがでしたか?
ジェルネイルに関しては、都市伝説的な噂がひとり歩きしてしまうことがよくあり、この日焼け説もそのひとつだと思います。
流れがUVライトからLEDライトに変わって、日焼けの心配の話が減ってきたと思っていたら今度はLEDのブルーライト問題が浮上。特に肌は関心が高いことなので、不安要素が少しでもあれば必要以上にいろんな害が噂され、明確な根拠がなかったとしても情報がごっちゃになったまま事実かのように広がっていくものです。
今回、紫外線とブルーライトの種類、その中での自然光と人工光の違い、そしてジェルネイルライトに使われる光をUVとLEDとで整理してみました。
私の結論から言うと、
ジェルネイルライトによる日焼けはほとんど心配いらない
ということ。
LEDライトならその心配はもっとなくなり、さらに爪以外に光が当たらない形状ならそれすらなくなるということ。
今までジェルネイルを硬化するためのLEDライトを正しく使ってトラブルが起きたという話はほとんど聞いたことがなく、もちろん長年LEDライトを使用してこうなった、という深刻な症例は今のところ報告されていません。今後、もしも症例が上がってくるとしたら、きっと何十年も先のことになるはずです。
それでも肌質や状態に個人差があったり、決して肌への影響が100%ないとは言い切れませんが、その時はもう少しだけ必要な対策をプラスして不安なくジェルネイルを楽んで欲しいです。
あまりに気にしすぎるのはストレスになってしまい、そのストレス自体が肌を酸化させてしまいます。心配している光老化以上にストレスが影響を与えてしまうなら、それは本末転倒。
今シーズンは日焼け止めも大きく変わると言われており、従来の紫外線、近年のブルーライトに加えて、各メーカーから熱を遮断するIR近赤外線カット効果のあるものが登場しています。きっと、それも数年後には当たり前になるのかもしれません。
日々いろんな分野で研究がなされ、ネイルを含む美容もすごい速さで進化しています。
たくさんの情報が溢れる中で、自分が本当に必要なものや情報をきちんと選び取って、毎日を気持ちよく過ごせるのがいちばんなんじゃないかと思っています。
お知らせ
持つ、剥がせる、傷まない。
みんなが待ち望んでいたジェルネイルキットがついに登場。
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