こんにちは。ネイリスト講師の三浦です。今回は爪の縦線についてのお話。
誰でも一度は聞いたことがある爪の縦線、なぜできてしまうのか、もしも家族や友人にきかれたらはっきり答えられますか?
爪の縦線、縦スジ、爪の縦ジワ、いろんな言われ方をしますが、様々な爪トラブルの中でも原因が加齢といわれることで有名なのがこの爪の縦線。
割れてるわけでも二枚爪でもないのに、この縦線があるだけでどんなにおしゃれしてもなんだかにじみでるような生活感が台無しにしてしまう。
ある日ふと自分の素爪に縦筋を見つけたら、急に気になってたまらなくなり、どうにかしようと爪表面を削ったりマニキュアで塗り隠そうとしたり、老化が原因と広く認知されているからこそ、よけいに過敏になりやすいものではないでしょうか。
多かれ少なかれ誰にでもありますが、爪の縦線がなぜできてしまうのか、治すにはどうしたらいいのかなんとなくしか知らないからこそ不安になってしまうもの。
「爪の縦線はなんでできるの?」
「いつのまにか爪に縦のスジが出てる」
「そんな年齢じゃないはずなのになぜこんなに縦ジワがあるなんて大丈夫かな」
「なにか病気じゃないよね?」
健康のバロメーターとも言われる爪は、ネットやSNSにもいろんな意見や動画等があふれていて、正しいものもあればそうでないものも当然あります。惑わされてしまって必要以上に不安になったり、間違った対処法で爪を痛めてしまったりしないよう、爪の縦線ができる原因、縦線を気にならなくする対処方法、これから縦線を作らない予防ケアをお伝えします!
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爪の縦筋、3大原因
まずその原因から。爪の縦線は爪甲縦条(そうこうじゅうじょう)といい、誰にでも生じる爪の縦の線のことです。いくつか原因がありそれぞれが密接に結びついているのですが、主な3大原因といわれるのがこちら。
・①爪のエイジング(加齢)
・②乾燥(外気や生活習慣)
・③睡眠、食生活の乱れやストレス
①爪のエイジング 縦線は老化のサイン?
1つめの原因は爪の加齢、エイジング。やっぱり!と思ってしまうんですが、爪も体の一部なので年齢とともに変化していくのは自然なことで、これが爪に縦線ができるいちばんの原因とされています。
エイジングで着目される肌も爪と同じケラチンでできていて、どちらも年齢とともに保水力が下がるもの。顔の筋肉に沿ってシワができるように、爪はいちばん表面側の背爪が縦方向なので、目に見えるのも縦の線になるのです。
ちなみに爪の加齢変化は10歳付近を境にはじまると言われています。20代くらいではまだあまり目立たないものが、40代になる頃からはっきりと目で確認できるようになります。
そして、肌や爪の水分保持に大きく影響する性質を持つ細胞間脂質の約半数を占めるセラミドは、50代では20代の約半分にまで減少するほどですから、見た目の変化もあって当たり前。(参考:加齢による爪の成分と形態の変化/Chocola.com)
エイジングは誰でもあることなので、本来あまり気にしすぎる必要はないんですが、やっぱり気になるし何もせずにいればあっという間に爪の縦線、縦筋が深く刻まれてしまいそう…と思ってしまうのは私だけではないはず。
でも、実は爪は正しい保湿ケアを続けることでエイジングの回復効果が現れやすい、とても素直なパーツ。年齢に関係なく潤ったきれいな爪、指先の方はたくさんいらっしゃいます。気になった時が、なんとなくではない本気の保湿ケアの始めどきかもしれません。
②手の乾燥は爪にも影響する
手は24時間休むことなく何かに触れ、外気や気温、洗剤からアルコール消毒まで乾燥することだらけ。ハンドクリームを日常的に使用している人が多いのに、洗剤や水を使う機会の多い女性の方が男性に比べて手の水分量が低いとの統計もあり、エイジングに加えてさらに日々の生活環境の乾燥ダメージなんて、本当に過酷です。
上イラストの緑色の部分はnail bed(ネイルベッド=爪床)といい、爪の真下にある柔らかい皮膚の部分。爪の成長とともに伸び、爪を維持するために必要な水分や栄養補給する神経と血管が通っています。爪は皮膚から続くこのネイルベッドから常に栄養と水分を供給されているので、ここがどれだけ水分を保って潤っているかで爪の保水率はかなり左右されます。手や指まわりを保湿するということは、同時に柔軟で強い、縦線のない爪をつくることに繋がるのです。
爪の水分量の目安は13~17%、ここが強度と柔軟性のバランスがとれていて爪トラブルが一番少ない理想的な状態です。水分量によってダメージの受け方も異なり、同じ衝撃を受けたとしても、10%以下では爪折れや縦亀裂が起こりやすく、20%以上では二枚爪になりやすいという結果も。(参考:爪中の水分と爪の力学的特性 第2報)
また、爪を囲む皮膚がしっかりと保湿されて柔軟なら、爪に負荷がかかって押し広げられたとしても弾力性のあるクッションのように爪のしなりを受け止めてくれるので、爪が割れてしまうことも激減。つまり、皮膚が保湿されることで、縦線ができにくいだけでなくトラブルのない柔らかくて強い爪に変えていくことができるのです。
③睡眠、食生活の乱れやストレス
3つめの原因は不規則な生活やストレスです。体調不良は爪に現れるもの。風邪くらいの体調不良なら爪に影響がでたりはしませんが、ストレスによる睡眠不足が続いたり、ダイエットによる極端な栄養の偏りは反映されやすく、爪も体の一部なので、食べたものからしか作られません。
爪の縦線ができてしまう原因になるのが、女性やアスリートに不足しがちと言われる、鉄分、亜鉛不足。亜鉛を多く含む食べ物は、レバー、牡蠣、海苔、高野豆腐、赤身肉、アーモンドなどですが、なかでも飛び抜けて亜鉛をく含む食品が牡蠣。
ちなみにビタミンCと一緒に摂ると吸収率もUPするので、牡蠣+レモンはおすすめの食べ方です。
個人的に、亜鉛を含む食材は自宅で調理しにくいものが多いのも不足しがちな要因でもあり、逆に外食では摂りやすいものが多いと思います。外食でメニュー選びの際に少し意識するだけで、摂取量はかなり変わるのではないでしょうか。
もちろん、亜鉛だけでなくタンパク質(肉・魚・大豆など)、コラーゲン(フカヒレ、手羽先、モツ、牛すじなど)も爪を作る重要な栄養素。野菜も不可欠なので、偏りすぎずバランスのいい食事を摂ることが大切です。難しい時はサプリメントを上手に活用するのもオススメです。
爪の縦線、縦筋、今すぐなくしたい!
今すぐどうにかしたい爪の縦線ですが、残念ながらすでに見えている線をケアしてなくすことはできません。できることは、保湿ケアしながらこれから生えてくる爪を縦線のない健康な爪に育てつつ、できてしまった縦線が気にならないようにカバーすること。
誰だって、体調不良や年齢を表すような縦線だらけの爪は隠したいと思うのは当然です。マニキュアやジェルネイルを塗って隠す、縦線の溝が消えるようにピカピカに磨く、いろんな方法がありますがそれぞれ仕上がりや自爪への負担は違ってきます。今回はそれぞれのメリット・デメリットを含めてご紹介していきます!
爪磨きはしていいの?
結論からいえば、おすすめはしません!
100円ショップなどにも売られていて、普段マニキュアやジェルネイルをしない自爪派の人でもトライしやすい爪磨き。
爪磨きは、まずバッファー2種類程度を使って目の粗い順にサンディング、その後シャイナーで強めに圧をかけて磨きながらツヤを出します。手軽さからしている人も多いと思いますが、実は爪を薄くしてしまうリスクがかなり高いことはあまり知られていません。
バッファーの段階で、縦線で爪の面に凹凸ができたところをこの高低差がなくなるくらいまで平らに削る、つまりいちばん低いところに合わせてそれ以外を削ってしまうので、その分爪を薄くしてしまうことは避けられないのです。
1日だけきれいにしたい、というならいいかもしれませんが、この爪磨きを継続するとなるとなおさら自爪を薄くするリスクも。1週間もすれば爪の伸びが見えるため、根元キューティクル側に新たに縦線のある爪が出てきます。
それを毎回磨こうとすれば、どうしてもすでに磨いた部分にもファイルが重複して当たってしまい、爪をどんどん薄く削ることになりかねない、ということは知っておくといいかもしれませんね。
リッジフィラーで凹凸を埋める
マニキュアで爪の縦線を隠そうとしても、被膜がうすいのでかなり厚塗りをしない限りはそのまま凹凸がくっきり残ってしまうか、カラーによっては陰影が出てしまって余計目立つこともあります。二枚爪のお話の時にも登場しましたが、どうしても凹凸を埋めたいならマニキュア感覚で使えるリッジフィラーも便利です。
ブランドによって異なりますが、カルシウム成分や繊維、ダイヤモンド粒子等を配合することで強度を高め、弱った爪をケアしながら凹凸を埋めてくれます。乳白色や薄いスキンカラーものも多く、自爪のトーンアップも叶えてくれるものも。ただ、強度や厚みはジェルネイルほどではないのと、何度も繰り返し塗り重ねる必要はあります。
下の写真は、爪の縦筋を隠すためにマニキュアとジェルをそれぞれ塗ったもの。
同じようにベース、カラー、トップを重ねたものですが、仕上がり、ツヤ、縦筋をどのくらい隠せているかは一目瞭然!
爪を薄くしてしまうリスクのある爪磨きと違って、実は、ジェルネイルは正しく使用することで継続してつけられるのが大きなメリットです。
今回は爪の縦筋を目立たなくすること、そしてダメージレスを目的にしてるので、オフする際はいつも以上に丁寧に、無理に剥がしたりしないようにしましょう。
ジェルネイルで凹凸をカバーする
縦筋の凹凸をきれいに隠す、さらに強度も出すならやっぱりジェルネイルがいちばん効率的。
あくまで自然に、清潔感やナチュラル感を大事にしたいなら、グランジェのオフィスネイルシリーズのカラーがおすすめ!
自爪の色味を残すシアーな仕上がりで、規定の厳しい職場で働く人が安心して使えるように開発された肌なじみのいいラインナップです。
上の写真は、同じ指でのBefore/Afterで、オフィスネイルシリーズでほんのりシアーなピンク色に色づく#160 チアガールを2度塗りしたもの。
爪の縦筋が消えるだけで5歳若見え、とよく言われますが、実際見ると納得!
さらに何もしていない状態より自爪にじんわり血色感が出て、指先を健康的に見せてくれるのもうれしいですね。
今回は、爪の縦筋をジェルネイルで目立たなくするやり方の手順をご紹介します!こちらは少し縦筋が気になる親指の爪。
縦筋を隠して自然な仕上がりにするコツは、縦線を消したくても一気にジェルをたくさん乗せず、少しずつ進めることです。
1.爪表面をクリーナーを含ませたキッチンペーパーでしっかり拭き取り、ベースジェルを均一に塗り拡げる。
2.数秒待って、ジェルの表面がつるんと整ったら3〜5cmの距離でライトを10秒照射する。
縦筋がまだ見えていても表面の凹凸がなくなっていれば大丈夫。
凹凸がかなり目立つ場合は、もう1度ベースジェルを重ね、表面が整ったらライトを10秒照射。
3.カラージェルを塗り拡げる。
自然に仕上げたいなら、爪先端の白い部分が透けるようなシアーな色を選ぶのがコツ。
今回は前述のオフィスネイルシリーズから#160チアガールを使用します。
4.カラーも表面がつるんと整うのを待って、ライトを10秒照射。
今回は自然に仕上げるためカラーは1度塗りしていますが、お好みで2度塗りでもOK。
5.最後にトップジェルを塗り、同様に表面が整うのを待ったらライトを20秒照射。
拭き取りなしで完成です!
この工程なら、1本あたり3分あれば完成。
爪を磨くよりも短時間で簡単に、気になる縦筋を隠して健康的な爪に見せることができます。同時に、しっかり厚みと強度が出せるのも爪の薄さが気になる人には嬉しいポイント。
おしゃれだけじゃない、こんな使い方ができるのもセルフジェルネイルの大きなメリットですね。
今回の縦筋を含めて、爪表面の凹凸をジェルで埋めたい時、ベースジェルの段階でなめらかな面を整えることが重要。
ただし、ひと塗りで埋めようと一度にたくさんのせるとはみ出して流れやすく、もちも見た目も悪くなってしまうので、塗布回数を2回以上に分けて分厚くなりすぎないように少しずつ表面を作るのがコツです。
カラージェルでの厚塗りは、顔料(色の成分)を含むため硬化しにくくなり、厚塗りには不向き。
そして、最後のトップジェルで表面を厚塗りすると、硬化熱をより感じやすくなるのはもちろんですが、見た目も分厚く、少し爪が伸びた時の段差もかなり目立つためおすすめしません。
もし、お仕事の規定などで、カラーなしで自爪のように自然な仕上がりにしたいならこんな感じはいかかでしょうか。
どちらもカラーを使わず、ベースジェルを薄く重ねた上にトップジェルで仕上げたものです。
下の写真のように、使用するトップジェルのツヤあり or ツヤなしで、印象が違ってきます。
左の、マットトップジェルポリッシュを使って爪の縦筋を消す方法は、爪を目立たせたくない男性や、爪は弱いけどネイルはできない人にとって、知っておいて損はありません。
(ツヤなしマットネイルの活用方法詳細はこちら)
爪の縦線、予防と習慣
爪は年齢を重ねるほど、生活の乱れやストレス、体調不良を映すもの。
これまでたくさんの人の手を見てきて、私個人的には仕事内容や生活習慣のほうが年齢より反映されやすいと思っています。
年齢は止められなくても必要な水分・油分量を補うことはいくらでもできます。
元々乾燥しやすい環境にある手や爪は、ここでケアをするか何もしないかで、1ヶ月後その差は大きく違ったものに!
爪にも水分と油分のバランスが必要
健康な爪は、水分と油分のバランスがとれているため弾力と柔軟性があり、負荷がかかっても割れずにしなってもとに戻ります。含まれる水分が多いほどよくしなり、爪が折れにくくなるという検証もされています。
例えばお風呂上がりに爪を何かに引っ掛けた時、ペランと裏返りそうになったけど折れずにもとに戻った、こういう経験がある方は多いと思います。もし乾燥している状態だったら先端が折れたり、ストレスポイントに亀裂が入ったりしていたのではないでしょうか。
以前にもお話しましたが、爪も肌もケラチン質でできていて、スキンケアの観点からは同じように水分、油分の両方が必要。
フェイスケアの場合、
①化粧水で水分を満たして、
②美容液オイルで内部から肌を柔らかくふっくら弾力を与え、
③最後にクリームでうるおいをしっかりと閉じ込めて蓋をし蒸散と外的乾燥から守る、
これを爪に置き換えると、
①セラム
↓
②ネイルオイル
↓
③ハンドクリーム
という順番になるのです。一緒に使うことで潤いの持続時間はもちろんですが、お互いの相乗効果からの浸透性、馴染みの良さ、質感の違いにきっと驚かれると思います。もし、今まで単品アイテムでのネイルケアをしていたなら、+1アイテムでその差を実感してみてくださいね。
爪は変えられる
手や爪は生活する上で見られる機会も多いパーツ。特に指や爪の形は遺伝によるもので、男女関係なく両親のどちらかと同じ形をしていたりします。
でも、生まれつきだから好きになれないと諦める必要はないんです。
爪のケアは、本当に努力の成果が出るもの。日中の保湿だけでなく、お風呂上がりに爪の形を整えて、爪周りや指もしっかりと保湿して、ルースキューティクルをきれいに処理してあげる、これを日々習慣にすることで個人差はありますがだいたい1ヶ月くらいで変化が現れてきます。
ちなみに、爪を伸ばしたりイクステンションで長さ出しをすれば理想の形に近づけることができますが、生活しやすいナチュラルなネイルのスタイルやセルフジェルネイルではなかなか難しいですよね?
そんな場合は爪周りのケアがオススメ。キューティクルエリアと言われる爪の根元と、爪を囲む左右両サイドのケアをすることで、爪の成長を阻害してしまういらない角質がとれて成長速度がアップするだけでなく、見た目にも本来あるべき爪の面積がくっきり大きく、きれいな形をつくることができます。
水分・油分ともにしっかり与えられて育った爪に縦線や凹凸はできにくく、キューティクルもきれいな左右対称。すっぴん爪ならもちろんですが、ジェルネイルを施してもこの自爪の形次第で印象は全く変わってきます。特にシンプルなワンカラーなら最高の仕上がりになります!
今回は爪の縦線についてお話させていただきましたが、大人でこの爪の縦線がまったくない、という人はほぼいないです。多かれ少なかれ、気になってしまう、そしてエイジングが絡むから余計気になってしまうもの。
縦線ができる原因は一つだけではないし、よく言われるように食べ物だけで治るものでも、削ってなくなるものでもありません。もちろん過剰に心配しなくて大丈夫。
爪の縦線が気になりはじめたらできることは、食生活や保湿ケアで縦線が目立たない健康な爪を育てながら、今ある爪の縦線部分を気にならないようにジェルネイルやフィラーを塗ってカバーする、この方法が一番だと考えています。
よく、ジェルネイルの上からオイルをつけて意味あるんですか?という質問をいただくことがありますが、爪自体ではなく爪のまわりにしっかりと水分と栄養を与えることが爪を保湿してくれることにつながるということ、爪まわりの皮膚を柔軟にすることが爪を守ることになるのです。
爪の欠点を塗って隠したり、飾ってごまかすのではなく、まず爪自体を健康にするために何をするかがとても大切です。
今までなんとなく気が向いたら適当なハンドクリームを塗るくらいだった人が、本気のケア習慣に切り替えたらあっというまに別人の手みたいになることだってあります。
堂々と人前に手を出すことができるようになると、人は所作まで変わる。
それがその人の印象すら変えてしまうから、爪ってすごいと思います。