二枚爪は治せる?セルフジェルで今すぐできる対処法。


こんにちは。現役ネイリスト講師の三浦です。
今回は二枚爪について。ちょっとした動作、爪を引っ掛けた瞬間、あ!っとなってしまった経験、誰にでもあると思います。たかが爪、と侮ってはいけません。二枚爪になると、指先に力を入れづらくなるため日常の動きや生活に支障をきたします。仕事やスポーツシーンならなおさら、そして神経の多い指先はとにかく痛い。今回はそんな二枚爪について原因、対処方法、予防のお話をさせていただこうと思います。

二枚爪は、正しくは爪甲層状分裂症といい、爪表面の層が先端で薄く剥がれてしまっている状態のことを指します。

薄くもろくなった爪は何をするにも力を入れられず、折れてしまいそうで気が気じゃない。シャンプーする度に髪の毛が隙間に引っかかるようになったり、お風呂上がりに柔らかくなった爪の先端が一瞬ペラっとひっくり返りそうになったり…と、指先はたくさん神経が通っているので痛みも感じやすく、かなり厄介です。

爪を伸ばしていても、短くしていても起こる二枚爪。
もちろん男性も女性も、ネイルする派もすっぴん爪派も、残念ながら誰にでもに起こりうるものなのです。

 二枚爪ってどうしてなるの?

 二枚爪って市販の何かを塗ったら元に戻る?

 二枚爪ってセルフジェルネイルで補修できる? 

セルフネイルのSNSやブログをみているといろんな商品・やり方が溢れていて、中にはびっくりするものも。あくまでダメージ爪と安全に配慮して、正しい知識とセルフジェルネイルで無理なくできる補修方法をお伝えしたいと思います!

目次

    なかなか治らない!二枚爪って何?

    二枚爪は子どもだってなります!

    爪甲層状分裂症、俗にいう二枚爪はれっきとした疾患で、手にも足にも起こるもの。タマネギの薄皮が剥がれるように爪の層が剥がれて薄くなり、爪の強度がなくなってしまいます。そうなれば手の爪はもちろん、体の全体重を支え一日の大半靴の中で圧迫される足の爪は、さらに割れや剥がれといった深刻な状態になる可能性も。
    それに、痛みがでれば日常の動きや生活に支障がないワケがありません。爪くらいなら…と思ってしまいがちですが何をするにも気にならずにいられないからこそ、二枚爪に悩まされる人が多いのです。

    爪は3層でできている

    爪を真横から見た断面図
    出典:Springer Link

    1枚に見える爪は、実は繊維の方向が縦・横で異なる3層でできていて、この層と層の間が離れてしまう、剥がれることによって二枚爪の状態に。
    イラストのいちばん外側、上の層から順に、

    ・トッププレート(ピンク:Dorsal)=縦方向

    ・ミドルプレート(黄色:Intermediate)=横方向

    ・アンダープレート(青:Ventral)=縦方向

    縦→横→縦、それぞれの層の間をタンパク質で結合し『爪』として強度を保っています。縦が2層、横が1層のため、ダメージやトラブル時はどうしても縦割れになったり、爪の縦筋が目立ちやすくなってしまいます。

    二枚爪の原因は?

    二枚爪の原因は様々で、体調不良等やお薬の副作用ということもありますが、原因のほとんどは生活習慣からくることが多いとされています。今回は原因の多数を占める、誰にでもあてはまる生活習慣について。
    その人の生活スタイルや性別、ネイルをしているかどうかでも原因や状況は変わりますが、共通する代表格としては乾燥、そして爪への衝撃があげられます。

    1つめは乾燥。空気の乾燥やケア不足はもちろん、日常の中での素手での洗剤使用や繰り返すアルコール手指消毒の影響が大きく、爪の水分量の低下、乾燥すればするほど爪は柔軟性を失い強度がなくなってしまいます。そうなると少しの衝撃でも爪表面ははがれやすくなり二枚爪のリスクにつながることに。以前のコラムでお話した、消毒による乾燥と手荒れは感染症予防の観点からも避けられないものなのでかなり深刻です。(消毒による乾燥と手荒れのお話はこちら)

    2つめは衝撃、外的要因とされるものです。衝撃といっても、生活の中で例えば何かにぶつける、缶を開けたりシールをめくるような爪先に負荷のかかる動作、髪の毛が少しの隙間に入り込みやすいシャンプー、PCを爪で叩くような小さい力の積み重ねでも、乾燥している爪にとってはすぐに二枚爪の原因となるので要注意。そしてこの乾燥と衝撃のどちらかだけでなく両方があてはまる人が多いのも二枚爪になりやすい人の特徴なのです。

    ネイルしない人の二枚爪

    爪切りの衝撃は原因の上位

    ネイルをしない人や男性にも多い二枚爪。普段気にしたこともない、という人でも乾燥しやすい冬に二枚爪になってしまう人は少なくありません。

    乾燥が理由、という以外に圧倒的に多い原因のひとつが、このコラムでも以前お話させていただいた『爪切り』の使い方。爪を大きく挟んで一気にバチン!と切る時の衝撃が本当に大敵なんです!切っても切っても同じところが二枚爪になってしまう、という場合はこのケースがとても多いです。 (正しい爪の切り方はこちらから)

    ネイルする人の二枚爪

    ジェルネイルオフで爪表面まで一緒に剥がれてしまった爪

    ネイルをする人はジェルネイルがついている時は二枚爪になることはまずありませんが、オフの時はそのリスクが一気に高くなります。

    ジェルネイルの強度に慣れてしまっていると自爪との差が大きいことは頭ではわかっていながらも、ついこれまで同様に日常の動作をしてしまう為その日のうちにパリッと二枚爪に!というケースは少なくありません。

    そして、ジェルネイルオフの際に使用するリムーバーには油分を取り去る成分が含まれ、一時的にかなり乾燥しているため、より剥がれやすい状態になるので要注意!

    さらにうまくジェルネイルの除去ができなくてその部分を爪の表面ごと無理やり剥がしてしまったり、ファイルで削って自爪まで薄くしてしまうとかなり深刻なダメージに。ポリッシュも同様で、オフに使用する除光液の使用頻度が高いとまわりの皮膚ごと爪を乾燥させ、二枚爪の原因になってしまいます。
    (ジェルネイルオフが苦手な人はこちらを参考に!)

    二枚爪は元に戻せる?

    CMやSNS等の商品広告を見ていると、ダメージネイルが治る!みたいなイメージのものも多く見受けられますが、爪は髪の毛と同じケラチンでできており、一度枝毛になって分かれてしまった毛先がどんなトリートメントやケアをしても元通りにならないのと同じで、残念ながら剥がれてしまった爪の層、二枚爪が再びくっついて治ることはありません。

    枚爪になったら今すぐして欲しいこと

    一度剥がれてしまった爪の層はくっつけられない、となればできることは何か?それはこれ以上剥がれる部分を広げないようにすること。

    二枚爪になってしまったらすぐするべきことは、その箇所をできるだけエメリーボード(自爪用爪やすり)で削り落とし、負荷のかかる爪の先端の長さをできる限り短くすることです。この爪が剥がれている二枚爪の箇所が、伸びて削って、伸びて削って…を剥がれた部分がなくなるまで繰り返します。
    この時は絶対に爪切りを使用せず、必ず180~240G程度のエメリーボードで一方向に優しく削ってくださいね。二枚爪の先端は薄くて弱いので、少しでも伸びたら即削る、これが重要です!

    爪がペラペラ、痛くて削れない時は

    ジェルネイルをオフしたばかりの自爪の状態で起こりやすい二枚爪トラブル。自分が思っていたよりも実際だいぶ薄い自爪が負荷に耐えきれずパリっと剥がれてしまう経験がある人もいると思います。

    もしも、ジェルネイルを剥がすような無理やりなオフや、安全とは言い切れないネイル施術を繰り返していたのなら、自爪はかなりペラペラ、先端を短くしたくても薄すぎる爪が動いてしまってファイルをまっすぐに当てることが難しい、ということも珍しくありません。もしもそうなってしまったら、まず爪が柔らかくないドライな環境で削ってみてください。
    わかりやすいのは爪が水分を含んで柔らかいお風呂上がりを避けること。爪切りの時は柔らかくなっている状態でのカットが正解ですが、今回はその逆です。

    二枚爪をセルフジェルネイルで補強する方法

    二枚爪になった部分を削りきってなくなればいいのですが、範囲が広かったり爪全体にダメージがあってこのままではさらに二枚爪が広がりそう…ということもあると思います。

    特に、ネイルオフの失敗によるダメージではこのパターンは珍しくありません。爪そのものがすでに薄くなっていたら日常生活もリスクだらけ、水仕事をした後やお風呂の後の爪がペラっとひっくり返りそうになる怖さを知っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

    保湿したり爪用栄養剤を塗るのももちろん必要なことなんですが、この場合は取り急ぎ、普通に生活する上でのある程度の強度や厚みが欲しい。

    今すぐネイルサロンに駆け込んでリペアをお願いするか、ハードナーやセルフジェルネイルで補修するか、になってきます。ただし、ネイルサロンでもセルフでも傷や出血があるなら施術はNG。あくまで爪表面のダメージのみが対象なのでご注意ください。

    今回は自宅で、ジェルネイルを使ってセルフで爪を補修・補強する方法を、写真で手順を追いながらご紹介していきます!

    この状態からスタート
    今回はジェルで先端に擬似二枚爪を作っています

    ①二枚爪になった先端をファイルでギリギリまで短くして、その後スポンジバッファで剥がれて浮いている白い部分を力をかけずに削る。

    剥がれ部分以外に当てないように慎重に

    ②ダストを払ってから消毒をして、クレンザーを含ませたキッチンペーパーで爪全体をしっかり拭く。

    エッジと裏側もしっかりめに

    ③剥がれている二枚爪の隙間にだけ筆でごく少量のベースジェルを入れ込む。ジェルが浸透したら剥がれている白い部分が透明になる。あくまでジェルの量は少なく、筆についている程度でOK。

    毛先の角をつかって剥がれの隙間にジェルを押し込む

    ④ウッドスティックの先端で、浮いた部分がピタッとくっつくように押さえたままライトで硬化。セルフの場合は、ライトをあらかじめONにしてテーブルに置き、手を近づけていく。押さえた時にはみ出すジェルは硬化前に筆でぬぐうかなじませる。

    ウッドスティックがくっついて硬化しないよう先端1点だけで押さえる

    ⑤剥がれ部分の周りだけベースを薄くのせ、段差を埋めるように少し待ってなじませたら硬化。先端にも筆先を引っ掛けるようにしてジェルを塗布。

    指についたら拭えばいいので先端はしっかりジェルで覆う

    ⑥爪全体にベースジェルを広げて硬化。少し多めに柔らかくベースジェルを塗布→硬化。さらにもう一層ベースジェルを重ねて真横から見て自然なハイポイント(爪の真ん中がいちばん高いアーチ)になるようにフォルムをつくれたら硬化。

    ハイポイントをつくることで強度が生まれる

    ⑦トップジェルを全体と爪の先端にしっかり塗って硬化。

    ベース同様、トップジェルも先端をしっかり覆って保護する

    ⑧施術後はネイルオイルでしっかり保湿を。
    ジェルをつけたまま爪が伸びたらこまめにファイルで削り、剥離部分がなくなるまで繰り返す。爪に対して下から45度くらいの角度でファイルを当てるとついているジェルが浮きにくい。

    *普段ジェルネイルをする場合、ベース→カラー×2→トップジェルの合計4層で形成するので、厚みは同じくらいになるように。

    *あくまで薄い爪の保護が目的、薄すぎると強度がなくなるので注意!

    大事なポイントはベース、トップジェルどの層でも爪の先端、二枚爪になっているエッジを必ずしっかり覆うようすること。

    その後はリムーバーでのオフをせずに、爪が少伸びた分をこまめに削ることを繰り返し、ジェルネイルをつけて保護している状態で二枚爪部分をファイルで削り落としていくようにします。
    爪のフリーエッジ、つまり先端の白い部分が二枚爪になりやすいので、爪の成長速度をふまえると個人差はありますが2〜3週間くらいですべて削り落とせるとイメージしてみて下さい。(ジェル爪の削り方はこちらをご参照下さい)

    二枚爪部分が無事すべてなくなったら、残ったジェルネイルは丁寧にオフしてあげましょう。

    でも、もしもフリーエッジ(爪先端の白い部分)をはるかに超えて広範囲に爪表面が剥がれてしまった場合、オフが必要なジェルネイルは使わない方がいいので要注意!

    ナチュラルカラーのハードナーも人気
    出典:Amazon

    ダメージ箇所が広範囲すぎる場合、もしくは爪が伸びきるまで3〜4週間以上かかってしまいそうであれば、手順は同様ですがジェルネイルではなくハードナーを塗布して爪を保護することをおすすめします。
    ハードナーはポリッシュのベースコート同様に使用しますが、カルシウムや繊維、ダイヤモンドパウダー等で爪に強度を持たせ、さらにダメージをいたわるケア成分を含むものも。ドラッグストアやWEBで購入できるので、爪の状態や目的に合うものを選んでみてください。こちらはオフせず数日ごとに上から塗り重ねて強度を出すものが多く、手軽に使えて爪に優しいのもメリットのひとつ。

    二枚爪にならないためにできること

    いったん二枚爪になってしまうと爪が伸びるまで本当に大変です。なってしまった後の対処、補修方法をお伝えしましたが大切なのはそもそも二枚爪にならないよう乾燥させないこと。

    じゃあとにかくハンドクリームをたくさん塗って保湿すればいいの?

    となりがちですが、それだけではなかなか防げません。
    たとえば、原因になりやすい洗剤の刺激と乾燥から爪と手を守るために、食器洗いやお風呂掃除の際は必ずゴム手袋を使うことや、手を洗った後はゴシゴシ拭いたりせずに水分を吸い取るように優しくタオルで包むようにすること。

    小さなことのようですが毎日の中ではかなりの頻度になるのでダメージはだいぶ軽減されます。

    保湿こそこだわって欲しい

    左:オーガニック原料と厳選ハーブエキス、ネイルセラムAura
    右:GRANJEネイルオイルの香りは全4種類

    保湿と言えば誰もが思い浮かべる定番のハンドクリームですが、私が個人的におすすめしたいのは断然、セラムとネイルオイルの組み合わせです。
    ネイルセラムで水分を補って整え、その後のネイルオイルで柔らかく保湿。フェイスケア言うなら、セラムが化粧水、オイルが美容液のような感覚をイメージしてみてください!
    そしてハンドクリームを使うならフェイスクリームと同じく最後。
    セラム→ネイルオイルの後、潤いを油膜のヴェールで閉じ込めるとより効果的


    さらにお気に入りの香りで持ち歩きしやすいオイルなら言うことなし!やたら長く感じる爪が再生するまでの期間を、一緒に過ごしてくれる頼れるオイルは大切な存在。「安いしいい香りだしいいかな」で選んでしまいがちですが、ダメージがある時、早く爪を伸ばしたい時こそ中身までシビアな目で選びたいものです。

    生活習慣を少し変えてみる

    乾燥の他に二枚爪の原因になる爪への衝撃や負荷。
    シールを剥がしたり缶をあけたりする際に爪先を使う癖がついてしまっていたり、洗剤のスポンジをいつも素手で扱ってしまったり、PCのキーボードを爪で叩く癖がついていたり…意識するだけで直せる所はいっぱいあります。感染症予防対策で自宅でも出先でも一日に何回もアルコール消毒が欠かせない生活ではネイルオイルやハンドクリームを常に持ち歩くのを習慣にして、消毒後の乾燥状態を作らないことも大切です。

    ちなみにペットの甘噛みも意外な爪ダメージになるのは知っていますか?ペットたちにとっては大好きな家族とのスキンシップの一環のはずが、爪や指まわりの傷や炎症だけでなく思わぬトラブルになる可能性も。欠けた爪先がペットの口に入ってしまう誤飲リスクもあるので、すでに爪にダメージがある時や、補修も含めてジェルネイルやポリッシュをつけている時は特に遊び方をいつもと変えてあげてくださいね。

    ジェルネイル=爪を保護できる

    いつもはファッションやコスメとしてジェルネイルのお話をしてきましたが、今回のようにダメージから一定期間自爪を保護してくれる役割もあります。爪のトラブルを塗って隠してしまう、ではなくあくまで正常な状態に爪が伸びるまで保護するのが目的
    場合によってはこの補修の際にいつものようにカラーを入れることもできますが、個人的には二枚爪の箇所が今どのくらいになっているか把握できるようにクリアカラーのままにするのもわかりやすくていいと思います。

    あとどのくらい!と日々改善されていくのを実感できるのも悪くないです。クリアカラーならネイルできないお仕事の方や男性でも補修することができますし、ジェルネイル特有のツヤ感が気になるのであればトップジェルで仕上げた後に目の細かいスポンジバッファを優しく爪全体にあてて動かしてみてください。自爪と変わらないマットな質感に仕上がるので違和感なく生活できます。

    できることなら二枚爪になんてなりたくないですが、残念ながら誰にでも起こってしまうもの。なってしまったらどうすればいいのかさえちゃんとわかっていれば、それ以上悪化させてしまうことはありません。

    今回お伝えしたのは補修方法をメインにですが、トラブルのない指先・爪先は仕事や生活のクオリティを上げてくれる大切な要素です。きちんと補修することができれば生活に支障もストレスもなし!そして、ぜひ日々の生活の中で指先まで行き届いた上質な保湿、ケアを習慣にしていただけたら嬉しいです。


    お知らせ

    持つ、剥がせる、傷まない。
    みんなが待ち望んでいたジェルネイルキットがついに登場。

    詳細はこちらをご覧ください。

    by miura