グランジェの商品開発に携わり、10年を迎える中島です。
さて、「ツヤツヤ」と「持ちの良さ」を強みに、一般の方にも浸透してきたセルフジェルネイル。
ただ、持ちの良さと引き換えに「オフ」の作業に手間がかかることが大きな課題でした。
そこで登場したのが「はがせるジェルネイル」。ピールオフジェルネイルとも呼ばれているものです。
その名の通り、オフの時には爪についているジェルをシールのようにはがすだけ。今までの面倒だったオフの作業を大幅に簡略化した商品です。
その利便性によりセルフジェルネイルでは主流になりつつありますが、うまく使えなくて挫折する方がいるのも事実。
グランジェの直営店舗「ネイルスタンド」では、そんなお客様からの相談を何度も受けてきましたが、そこではちょっとした認識違いを修正したり、簡単なコツを知ってもらうことで、ほとんどのお客様が最終的にはうまく使えるようになりました。
これを読んだ方は、はがせるジェルネイルについて正しい選択ができるように、また失敗する人がいなくなるようになってもらいたいです。
はがせるジェルネイルとは
はがせるジェルネイルの特徴
はがせるジェルネイルとは、爪に直接塗る(ベース)ジェルが、ジェルリムーバー(アセトン)を使用せずオフできるタイプであることを言います。
通常のベースジェルと見た目はほぼ変わらない透明のジェル、いわゆるクリアジェルです。カラージェルやトップジェルの役割も合わせたいわゆるワンステップタイプもあり、様々なメーカーから販売されています。
価格も品質も同様に様々。ベースジェルほど爪への密着度が強くなく、硬化した時の状態もカチカチではなく弾力性があり、ネバネバしていて粘着質の高いのが特徴です。
その登場までは、アセトンを使用してオフするタイプしかありませんでした。今でもネイルサロンではほとんどがそうで、ソークオフジェルと呼ばれたりします。
通常(ソークオフジェル)のオフとはこれだけ違う
通常ジェルネイルのオフは、
1:ジェル表面をファイルで削る(サンディング)
2:ジェルリムーバー(アセトン)を浸したコットンをジェルに乗せる
3:アルミホイルで巻く
4:約15分待ってから、ウッドスティックなどで落としていく
という4つの工程を両手にする必要があり、セルフなら30分以上はかかります。
それがはがせるジェルネイルの場合、
1:ウッドスティックなどでシールのようにはがす
の1工程。早ければ5分程度で終わることも。大きく時短となります。
唯一にして最大のデメリット
持ちの良さと、オフのしやすさは相反することなので、やはり通常のベースジェルよりは持ちが悪くなる傾向にあります。セルフジェルネイルは一般的に2週間以上の持ちが期待されるアイテムでしたが、同じくらい持つこともあれば、数日で取れることも。
ただし持ちの良し悪しについては様々な要因があり、同じ商品を使っても使う人によってその差が大きくなります。詳細は後述にて。
はがせるジェルネイルをおすすめする4つの理由
①オフやリペアが楽
すでに述べたとおりですが、とにかくオフが手軽になったのはユーザーにとって大きなメリット。
作業にかかる時間はもちろんのこと、実際の作業の手間、オフ用の溶剤や消耗品などの事前の準備もほぼ不要で、圧倒的に楽になります。
ジェルの一部が欠けてしまったりしても、すぐにはがしてリペアできるのも良い点です。
②ダメージ軽減
はがせるジェルネイルは、うまく使うと通常のベースジェルよりもダメージを軽減することができます。
通常のベースジェルを使用した場合、爪へのダメージとしては大きく2つの原因があります。
②-1 サンディングのしすぎ(爪の削りすぎ)
サンディングとは、ジェルを塗る前にスポンジバッファで爪表面を削る作業のこと。
ジェルとの接着面(つまり爪表面)に少し凹凸を作り、定着を良くして持ちを良くする目的で行います。
表面が少し曇る程度で十分なのですが、どの程度サンディングが必要か分からず、削りすぎて爪が薄くなってしまうこともよくあるケースです。
②-2 オフ時に使うジェルリムーバー(アセトン) + ファイリング
ソークオフジェルの場合、そのオフ時に使うジェルリムーバーは主成分がアセトンで、その揮発性の高さによって爪の水分や油分を短時間を奪い取ってしまいます。その後乾燥した爪に残ったジェルをネイルファイルやネイルプッシャーなどでこそぎ落とす作業は、サンディング以上に爪への大きなダメージに。
アセトンなしではオフできないので、オフのたびに爪に負担がかかるのは仕方ないことではありました。
更に言うと、継続的にオンとオフを繰り返していると蓄積されたダメージが最終的にアレルギーを引き起こす可能性もゼロではありません。オフの後はなるべく補水や保湿をして爪や肌ケアすることをおすすめします。
対して、はがせるジェルネイルは基本的にノンサンディングで、またジェルリムーバーも不要という意味ではダメージを大きく軽減できます。ただしはがせるジェルネイルのオフ時にも、爪表面ごとはがれてしまうというダメージのリスクもあり、対策を含めてこちらも後述します。
③仕上がりの良さ
ジェルネイル全体に言えることですが、やはりマニキュアでは実現できないツヤは代えがたい魅力。オンがお手軽なジェルシールも、シールの形が爪にマッチしない場合もあり、仕上がりの良さでは引けを取ります。もちろん、はがせるジェルネイルほど簡単にはオフできません。
④持ちも改善されつつある
デメリットとしてお伝えしましたが、はがせるジェルネイルの持ちについても少しずつ改良や進化が見られます。以前は名ばかりで全然「はがせない」だったり、「数日しか持たない」ような商品がたくさんありましたが、その後新しい商品もリリースされ、以前より改善されている状況です。
グランジェのはがせるジェルネイルも、リリース前のモニターテストでは2週間の時点で欠けてしまったり取れてしまったりすることもありますが、問題なく持った結果も何度も確認しています。
2週間経過すると伸びた爪の根元がかなり気になるので、ネイルチェンジのタイミングです。はがせるジェルネイルとしては、少なくとも1週間は持たせたいですね。
こちらのユーチューバーさんは、3週間の持ちをレビュー動画にてアップしてくれてます。よろしければご参照ください。
はがせるジェルネイル2つのトラブル対策
①持ちが悪い
ジェルネイルの持ちの良し悪しには様々な要因がありますが、主には以下の4つです。
①-1 塗り方(使い方)
一番の要因はここ。塗り方(使い方)によって持ちが大きく左右します。
まずは、プレパレーションしているか。プレパレーションの目的は、主にはジェルクリーナー(アルコール)で爪表面を拭き取り爪表面の余分な油分を除去することです。
次に、正しい塗布量で塗っているか。正しい塗布量とは、爪全体をジェルがくまなく覆うくらいで、多少爪を傾けてもはみ出したりしない程度の量です。爪の大きさにもよりますが、ブラシの片面をボトルのフチで落とし、もう片面の半分に乗る量をひとつの目安にしてください。
特に先端からはがれやすい場合は、先端だけに少し多めに塗ることで改善される場合もあるのでぜひお試しを。
最後は、はみ出さずに塗っているか。はみ出して塗ってしまい、そのまま硬化してしまうと、そのはみ出たところが起点となってはがれる原因となります。必ず爪の範囲内に収まるように塗ってください。
ちなみに塗るのが苦手という方は、透明感の高い、肌なじみの良いカラーを選ぶと塗ったところと爪の境界線が目立ちにくく、比較的簡単に仕上がります。グランジェだとオフィスネイルシリーズが該当します。
①-2 商品の品質
はがせるジェルネイルは、新しいカテゴリーなのでまだまだ品質向上の過程にあり、玉石混交の状態です。なので、品質に問題を抱えている商品に当たる可能性もゼロではありません。
お試しで価格の低い商品から安易に手を出すなどして、うまく使えず結局あきらめてしまうのでは意味がありません。レビューなどを良くご参照のうえ商品選びをしてください。
ネイルスタンドでも、他メーカーの商品を使用していたが、どうしても1日で取れてしまうため違う商品を試したいとトライアル(ハンド10本無料でお試しできます)に来られ、後日2週間以上持ちました、とご報告にこられるというパターンも何件かあります。ただし本当に品質の問題だったのか、使い方の問題だったのかは実際のところ分かりませんので悪しからず。
①-3 生活習慣
ジェルネイルは爪に物理的に接着している以上、外的な圧力や衝撃はダイレクトに影響があります。手作業が多いお仕事をしている方、また水分による影響もありますので、水仕事やお風呂(特にシャンプー)は持ちの良し悪しに直結します。
手仕事、水仕事の際は手袋をする、またシャンプーブラシを使用するなどの対策が有効です。
①-4 爪との相性
爪の形状でCカーブがきつい、また脂性肌など、そもそもジェルネイルがはがれやすい特徴を持つ方がいます。上記の塗り方(使い方)をご参照の上使用し、それでも改善しない場合は商品を変えるなどしてみてください。メーカーによってはがれやすさに結構ばらつきがあるため、レビューを参考に、例えばはがれにくいというレビューが多い物を選んでみるのも手かもしれません。
②オフしにくい、はがす時にダメージを伴う
オフがしにくい、またはがす時に爪表面ごと取れてしまう、というトラブルが良く起こります。
特に爪表面にダメージがすでにあったり乾燥している場合に起こりやすくなります。また逆に、爪表面の状態が非常に良い時などにもジェルの定着が良すぎてはがれにくくなる、ということも実はあります。
その状態で勢いよくはがしたりすると当然爪の一部ごとはがれてしまうので、はがす際はゆっくり丁寧に行いましょう。
特にフットネイルはハンドよりも乾燥しがちで、はがれにくいことがよくあるので、ジェルを塗る前に一層作るイメージで、ネイルセラムやネイルオイル(肌用化粧水やクリームでもオッケー)で軽く補水や保湿するのも対策のひとつです。
尚、グランジェのピールオフリキッドは、シールはがし剤のような役割で、ジェルをはがしやすくしてくれるので、オフの際はぜひ合わせてお使いください。肌への負担が非常に少ない成分構成で、爪へのダメージを気にせず使用できます。
はがせるジェルネイルはこんな人におすすめ
初心者の方
手軽にオンオフできるのは、はじめてセルフジェルネイルする方には最適です。失敗してもすぐにやり直しができます。
爪が薄い方、乾燥肌の方
アセトンを使ったソークオフは爪が薄い方や乾燥肌に良くありません。はがせるジェルネイルのオフのトラブル対策をしてダメージを軽減してください。
職場のネイルに制限のある方
グランジェにはオフィスネイルシリーズがありますが、もしすぐにはがさないといけないシチュエーションが来ても、すぐに対応できます。
ネイルサロンに行きにくい方
ネイルコスメに興味はあるけど、ネイルサロンに心理的なハードルを感じている方や、行く時間を作れない方にもおすすめできます。
ジェルネイルのオフが面倒な方
言うまでもありませんが、今までのオフとは比較にならない手軽さとなります。
逆に絶対にはがれたくないシチュエーションの方にはおすすめできませんので、冠婚葬祭などマナーが求められる場ではご注意を。
最後に
セルフジェルネイルは他のコスメと違い、正しいやり方や、ちょっとしたコツを知っているか、実践しているかどうかで成否が大きく分かれます。慣れれば誰でもうまくなり、またうまくできた時に見返りが大きいアイテムです。
四六時中視界に入るコスメという点で他のコスメと少し違い、そのツヤは感情に少なからず影響を与え、内面的に支えてくれたり、自信をくれたりします。
もともとプロ用のアイテムだったジェルネイルなので、一般の方が最初からうまく使えることの方が少ないかもしれませんが、進化を続けて今ではマニキュアよりも簡単にオンとオフができると言っても過言ではありません。
ジェルネイルの大きな課題だったオフが手軽になった今、その魅力に多くの方が気づいてくれることを願っています。